1.3.2 応力と圧力
$\boldsymbol\tau=\dfrac{\boldsymbol F}S$
となる。ここで、$\boldsymbol\tau$:応力、${\boldsymbol F}$:面に働く力の大きさ、$S$:面積を示す。応力の単位は式から[$Pa(=\mathrm{N/m^{2}})$]である。[1]
もう少し正確に説明していく。ある面に働く応力はベクトル量である。たとえば図1.3.2.1のように面内に働く応力を考えたとしよう。
図1.3.2.1: 密度と比体積
力${\boldsymbol F}$を加えたとき、面に働く応力は面に垂直な方向成分の応力(法線応力${\boldsymbol n}$)と面に平行な方向成分の応力(接線応力${\boldsymbol t}$)に分解することができる。
このことから力${\boldsymbol F}$は
$\overrightarrow F=F_v\overrightarrow n+F_h\overrightarrow t$
となり、法線応力$\tau_v$と接線応力$\tau_h$はそれぞれ
$\tau_v=\dfrac{F_v}S$ , $\tau_h=\dfrac{F_h}S$
と書くことができる。ここで、${\boldsymbol n}$は法線方向の単位ベクトル、${\boldsymbol t}$は接線方向の単位ベクトルを示す。[1]
静止した流体を考えてみる。流体の面に垂直に働く力は作用・反作用の関係により押し合う力のみである。静止流体中での垂直応力(法線応力)を圧力と呼ぶ。また、静止流体中の面$S$に働く圧力を全圧力と呼ぶ。[1]
この関係を式にすると、
$p=\dfrac PS$
となる。ここで、$p$:単位面積当たりの圧力、$P$:全面積の圧力、$S$:面積である。
静止した流体に関して述べてきたが、流動している場合は、圧力だけでなく接線応力が生じる。接線応力は流体が粘性をもち、流体運動に速度勾配があるときに生じる。粘性については、次節で説明する。[1]
参考文献
[1]: 同志社大学工学部 水島二郎, 流れ学
[1]: 同志社大学工学部 水島二郎, 流れ学