2018年3月15日

次元

1.2 単位と次元

1.2.2 次元

  • 次元
      ◆ 単位としばしば混同される概念である。
      ◆ 物理量Zをいくつかの基本的な物理量と組み合わせた際に、物理量Zに係る乗数を物理量の次元という。[1]

    ex.1) 物理量Zの次元[Z]

[Z]=[AαBβCγ]=[A]α[B]β[C]γ

A1=A2+A3

             左辺のA1および右辺のA2A3の次元は互いに等しくなる
             ※物理法則等の式には加減乗除の演算記号が含まれるが、同じ次元量の同士でなければ演算は不可である。各項は同じ次元である必要がある。(=次元の斉次性の原理or同次元の法則)[1]

  • 次元解析
      ◆ 物理量同士の関係性について次元を用いて推定する方法。
      ◆ 力学、流体力学で用いられる基本的な物理量は以下の通りである。

質量[M]、長さ[L]、時間[T]

    ex.1) 速度[v]を長さ[L]と時間[T]を用いて表現

[v]=[LT1]=[L][T]

      ◆ 以下に、流体力学で用いられる物理量を基本量で示したものを表で示す。[1]

表1.2.1.4: 基本単位および基本量
物理量基本単位基本量
密度:ρ
kg/m3[ρ]=[ML3]
温度:θ
K
[θ]=[K]
圧力:PN/m2[P]=[ML1T1]
運動量:Lmkgm/s[Lm]=[MLT1]
角運動量:Mmkgm2/s[Mm]=[ML2T1]
  • 次元解析の例
       水中に働く浮力式に関して導出してみる。

図1.2.2.1: 水中に働く浮力

       浮力の次元  [f]=[MLT2]

       浮力は体積V[m3]、水の密度ρ[kg/m3]、重力加速度g[m/s2]で決まる。これらの物理量と浮力の次元の関係性を考える。[1]

MLT2=ραgβVγ
MLT2=(ML3)α(LT2)β(L3)γ

       物理量MLTの各次元が等しいことから、係数αβγは以下のように求まる。[1]


α=1β=1γ=1

       上記より以下の式が成立する。

f=ρgV

参考文献
[1]: 同志社大学工学部 水島二郎, 流れ学, pp4-6, 2015年9月26日
[2]: http://www.th.phys.titech.ac.jp/~muto/lectures/Gelmg06/Gem_chap07.pdf, 第7講 電流が磁場から受ける力, pp1
[3]: 島 弘志, 国立単位系(SI)-安心・安全を支える世界共通のものさし, pp20-24, 2007年12月19日, 第1版第1刷発行
[4]: https://www.nmij.jp/library/units/
[5]: https://www.otsukael.jp/weblearn/chapter/learnid/87/page/7/category1id/29
[6]: https://ja.wikipedia.org/wiki/立体角
[7]: https://zukai-kikenbutu.com/buturikagaku/2-mol.html#bussituryou